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本日の殻割
失敗しないための殻割講座
殻割機を販売して何年か経過いたしましたが、ネットでは失敗や温度上昇などの評価をたまに見受けます。
そこで当ショップが行っている殻割代行での作業について失敗しないための殻割の方法を公開したいと思います。
ROKCITCOOLのツールを使っての殻割は簡単
ROCKIT88や99など殻割機の使用についてはCPUの載せる位置以外に注意点などはありません。普通にご使用いただければ、問題なく殻割ができると思います。問題は殻割した後の仕上げの仕方によって大きく変わってきます。
シーリングは丁寧に剥がす
シーリングとはIHSとCPUを固定するときに使っている黒い少し柔らかい材質の接着剤です。
この殻割した後のシーリングは丁寧に剥がしてください。竹くしやつまようじの先端、ROCKIT製品についてくる竹櫛は非常に使いやすく、傷もつきにくいです。この部分に段差が残っているとIHSの装着時に傾きの原因となります。段差があることで斜めになり、IHSと密着性がなくなる場合があります。
グリスは丁寧に除去する
グリスは無水エタノールどのアルコールを含ませた綿棒などできれいにふき取ってください。グリス版のCPUはとくに表面がつるつるなのでしっかり脂分と洗剤分をとっておかないと液体金属が馴染まず弾きやすくなっています。
9xxxシリーズはもうひと手間かかります
9xxxシリーズ(Xシリーズを除く)はSTIMと呼ばれるハンダでついているため、この除去に時間がかかります。グリスと同様にしっかり除去しないと凹凸が見えない部分で起きて傾きの原因となります。
当初は10分くらいで除去していましたが、現在はQuickSilverSolderRemoverなどの液体金属をたっぷり塗り、そしてほぼ半日くらい放置しています。
こうすることで余計にこすって落とす手間を省いています。放置する途中で何度か綿棒などでSITMを軽く除去してまた放置をしています。
特に四隅はなかなか落ちないので綿棒を横にしてしっかり落としていく必要があります。また仕上げにコンパウンドなどを使って仕上げますがこれが曲者で、これの脂分が残っていると液体金属を弾いて良く塗れません。
CopperIHSを使うときはクリーニングする
CopperIHSは出荷時綺麗にしてから出荷されていますが、製造時の脂分が残っていたり、むき出しの銅ですので多少は経年変化します。(一応変化防止ペーパーを同封していますが)裏面部分に無水エタノールなどを含んだ綿棒などで汚れを落としてください。ここもCPUダイと同じで脂分が残っていると液体金属を弾きますし、それが元となって密着性が低下します。
液体金属を塗布するときは工業用綿棒で
CPUダイやIHSの裏側に液体金属を塗る時は工業用綿棒を使ってください。市販の綿棒ではけば立ちしたコットンの成分などが取れてIHSに残ってしまう場合があります、より密着性を高めるため埃や残存物が残らないのが望ましいのです。QuickSilverSolderRemoverには工業用綿棒が付属していますので、この綿棒はSTIMを剥がすときには使用せず(こちらは綿棒で十分です)装着するときに使用することをお勧めます。
また塗る前に今一度、エアダスターなどで表面についた埃を除去するのを忘れないようにしてください。
シーリング剤はなるべく均等に薄く
装着失敗で多くみられるのがこの段階です。まずシーリングをたくさん塗りすぎるとIHSとの接触の抵抗になりますのであまり多く塗る必要はありません。どちらにしても装着するときにあふれてくるだけです。
また、シーリングは四隅に同じ配分にしたほうが良いです。四隅にL字になるように塗ってシーリング剤の配分が均一になるほうが圧力が均等に掛けられるので良いでしょう。海外では四隅にボンドを点で付けているだけの例が多いですが、このやり方は正解で、装着時に抵抗にならず、綺麗に接触しますが、こちらは接着剤が白濁するので剥がすときが少々面倒ですが確実です。シーリング剤でこれをやると接着力が足りず剥がれる原因になります。
IHSやCopperを乗せたときは指で押さない
IHSやCopperをガイドを使って載せたときに指で押しては行けません。押してしまうとその後反対方向に押し戻されます。このときに隙間に空気が入って気泡となったり、密着性が低下して熱が伝わりが悪くなります。またシーリング側にも浮きが出て接着不足の要因になります。
装着時はそっと置くだけにして、付属のRelidの大ボルトで締め付けていくだけにしてください。
テスト時に水枕やクーラーの装着時も同様で一度塗ったあとに押すと浮いたりして気泡の原因や密着性不足になり、温度上昇の要因になります。
当ショップではここまでの作業を代行で行っていますので是非ご利用ください。